日本で充電器やモバイルバッテリーを選ぶとき、真っ先にAnkerを思い浮かべる人は多いでしょう。中国発のブランドでありながら、日本ではすでに定番メーカーの一つとして定着しています。
ただ、中国のデジタル周辺機器市場で存在感を持つブランドはAnkerだけではありません。以前紹介したUGREENに加え、ぜひ知っておきたいのがBaseus(ベースアス)です。中国では「倍思」の名で知られ、手頃な価格と洗練されたデザイン、日常の不便を解消するアイデアで支持を広げてきました。
Baseusは、2011年に中国・深圳で誕生したデジタルライフブランドです。スマートフォンケースや保護フィルム、ケーブルから出発し、現在はGaN充電器、モバイルバッテリー、イヤホン、USB-Cハブ、車載用品、セキュリティカメラまで幅広く手がけています。
この記事では、Baseusがどのような会社なのか、ブランド名に込められた考え方、主力製品と最近の取り組み、中国市場での評価を紹介します。
| まず知りたいこと | 回答 |
|---|---|
| Baseusはどこの国? | 中国 |
| 読み方 | ベースアス |
| 中国語名 | 倍思 |
| 誕生 | 2011年 |
| 本拠地 | 広東省深圳市 |
| 創業者 | 何世友(He Shiyou) |
| 主力分野 | 充電器、ケーブル、モバイルバッテリー、音響、USB-Cハブ、車載用品 |
Baseusはどこの国のブランド?
Baseusは、創業者の何世友氏が2011年に立ち上げたブランドです。何氏はそれ以前から携帯電話と周辺機器の販売に関わり、中国のスマートフォン市場が急拡大するなかで、自社ブランドの開発へ進みました。
初期の主力は、スマートフォンケース、保護フィルム、データケーブルなどでした。当時の中国市場には低価格の周辺機器が数多く並んでいましたが、品質やデザインにはばらつきがありました。Baseusは、手に取りやすい価格を保ちながら、ブランドとして統一感のある商品を投入することで成長しました。
2019年にはGaNを使った65Wクラスの多ポート充電器を早い段階で商品化し、充電ブランドとしての知名度を高めます。その後はTWSイヤホン、USB-Cハブ、車載アクセサリー、ハンディクリーナー、ポータブル電源、セキュリティカメラまで製品を広げました。
2023年には、中国の大手投資会社である深圳市創新投資集団や中金資本などから大型の資金調達を実施しました。Baseusの発表によると、現在は100以上の国と地域で事業を展開し、世界の利用者数は3億人を超えています。
ブランド名の意味は「Base on User」
Baseusという名称は、ブランド理念である「Base on User」に由来します。日本公式サイトでは、「常にユーザーの目線に立って考え、行動する」という意味で説明されています。
この考え方は、同社の製品を見るとよく分かります。Baseusは、まったく新しい製品分野を生み出すというより、すでに身近にある充電器やケーブルを、より使いやすく仕立てることを得意としています。
- ケーブルを本体へ巻き取って収納する
- モバイルバッテリーにケーブルやスタンドを内蔵する
- 出力を画面で見えるようにする
- デスク充電器にQi2スタンドを組み合わせる
- 車載充電器へ巻き取り式ケーブルを組み込む
こうした製品づくりは、いわば利用シーンから逆算したアイデア設計です。技術仕様だけを競うのではなく、「ケーブルを忘れたくない」「デスクをすっきりさせたい」といった悩みを、ひと目で便利さが伝わる形にしています。
Baseusの主な製品ライン
現在のBaseusは、充電だけのブランドではありません。日本とグローバルの公式サイトを整理すると、主な事業は次の6分野です。
| 製品ライン | 主な製品 | Baseusらしい特徴 |
|---|---|---|
| 充電 | GaN充電器、電源タップ、USB-Cケーブル | 多ポート、巻き取り式、出力表示 |
| モバイルバッテリー | 有線・マグネット式モデル | ケーブル内蔵、薄型、Qi2 |
| オーディオ | TWS、イヤーカフ、オープンイヤー、ヘッドホン | 手頃な価格帯から上位Inspireまで展開 |
| PC周辺 | USB-Cハブ、ドッキングステーション | ポート数が多く、デスク向け製品が豊富 |
| 車載 | 車載充電器、スマホホルダー、クリーナー | 車内の配線と収納を意識 |
| セキュリティ | 屋内・屋外カメラ | ソーラー給電、ローカル保存対応モデル |
現在も事業の中心は充電器とモバイルバッテリーです。一方、オーディオやセキュリティカメラにも力を入れており、スマートフォン周辺機器の会社から、暮らし全体を支えるデジタルブランドへ広がろうとしています。
売れ筋を作ったGaN充電器と巻き取り式ケーブル
Baseusが中国で広く知られるようになった代表分野は急速充電です。特に65W前後のGaN多ポート充電器は、スマートフォンだけでなく薄型ノートPCも充電でき、Ankerより価格を抑えた選択肢として人気を集めました。
近年の象徴的な製品が、巻き取り式ケーブルを内蔵したEnerCoreシリーズです。日本で販売される「EnerCore CJ11 67W」は、USB-Cケーブル、複数ポート、折りたたみ式プラグを1台にまとめています。
画像: Baseus日本公式サイト
充電器とケーブルを別々に持ち歩く必要がなく、使い終えたケーブルもすっきり収納できます。Frost & Sullivanの調査を引用した同社発表によると、Baseusは2021年から2024年まで、巻き取り式ケーブルを採用した充電製品の世界販売台数で4年連続首位になったとしています。
巻き取り式ケーブルは、現在のBaseusを代表する特徴の一つです。充電器だけでなく、モバイルバッテリー、デスク用充電器、車載充電器、単体ケーブルにも採用されています。
Baseusらしさを凝縮したNOMOS 5-in-1 140W
Baseusの最近の製品で、ブランドの方向性を最もよく表すのが「NOMOS 5-in-1 140W デスクトップ充電器」です。
最大140Wの有線充電、100W対応の巻き取り式USB-Cケーブル、Qi2ワイヤレス充電スタンド、複数のUSBポート、出力表示ディスプレイを一体化しています。デスクに複数の充電器とケーブルを並べず、ノートPC、スマートフォン、イヤホンを1台へ集約するための製品です。
画像: Baseus日本公式サイト
純粋な小型化や最高出力だけで競うのではなく、「デスク上の充電をどう整理するか」という利用場面から設計している点がBaseusらしさです。NOMOSシリーズは、同社が低価格アクセサリーから、仕事環境全体を提案するブランドへ進もうとしていることも示しています。
モバイルバッテリーは薄型と一体化が強み
モバイルバッテリーでは、ケーブル内蔵、残量ディスプレイ、マグネット式、薄型設計を積極的に採用しています。
PicoGO AM41は、厚さ約0.9cmのカード型ボディを特徴とする5000mAhのマグネット式モバイルバッテリーです。最大20Wの有線充電に対応し、スマートフォンへ装着したまま使いやすい薄さを重視しています。
画像: Baseus日本公式サイト
Baseusは大容量や高出力だけでなく、持ち歩くときの厚さ、ケーブル忘れ、スマートフォンとの一体感を売りにしています。毎日使う製品では、スペック表以上にこうした設計が購入理由になります。
一方、モバイルバッテリーはBaseusの評価で最も慎重に見るべきカテゴリーでもあります。米国では2024年にPPCXM06・PPCXW06、2025年にBS-30KP365が過熱・発火の恐れでリコール対象になりました。対象は特定モデルですが、購入時には型番、販売地域、リコール情報を確認する必要があります。
Bose監修のInspireで音質にも挑戦
Baseusの製品ラインで、近年もっとも大きな変化が見えるのがオーディオです。従来のBowieシリーズは、低価格のTWSイヤホンやオープンイヤー製品が中心でした。
その上位に投入されたInspireシリーズでは、Boseがサウンドチューニングを監修しています。Inspire XC1はオープンイヤー型で、Knowles製BAドライバー、LDAC、ハイレゾワイヤレス、Dolby Audioに対応します。
画像: Baseus日本公式サイト
Inspireは、Baseusが「価格の割に機能が多いイヤホン」から一歩進み、音質を理由に選ばれる上位シリーズを育てようとする試みです。AnkerがSoundcoreを有力なオーディオブランドへ成長させたように、Baseusも価格以外の価値を打ち出し始めています。
ただし、中国でのBaseusの音響イメージは、充電製品ほど確立されていません。Shokz、Huawei、Xiaomi、Soundcore、QCYなど競合が多く、Inspireが長期的に上位ブランドとして定着するかはこれからです。
USB-CハブとドックではUGREENとも競合
PC周辺では、Metal Gleam、Spacemate、NomosなどのUSB-Cハブとドッキングステーションを展開しています。
Nomos NU1 Air 12-in-1は、デュアル4K出力、最大100W給電、複数のUSBポートとカードリーダーをまとめたWindows向けドックです。Baseusはここでも、単にポートを横へ並べるのではなく、縦型の本体とケーブル収納を組み合わせ、デスク上の占有面積を減らしています。
画像: Baseus日本公式サイト
この分野ではUGREENが強い競合です。UGREENはケーブル、映像接続、ストレージまで技術を軸に製品を広げています。一方のBaseusは、充電機能と収納性を組み合わせ、デスクでの使いやすさで違いを打ち出しています。
中国市場でのBaseusの立ち位置
中国でBaseusは、スマートフォン周辺機器に詳しくない人にも広く知られる大手ブランドです。天猫、京東、抖音といった主要な通販プラットフォームで販売し、充電器、ケーブル、モバイルバッテリーでは定番候補の一つになっています。
36Krが紹介した2025年の大型セール集計では、Baseus公式店が天猫のモバイルバッテリー部門で1位、京東の同部門で3位に入りました。安全性をめぐる問題が報じられた後も上位に入っており、販売力と利用者層の厚さがうかがえます。
ただし、Anker、UGREEN、Baseusは同じ中国発でも立ち位置が異なります。
| ブランド | 中国・海外での主なポジション |
|---|---|
| Anker | 研究開発、品質管理、ブランド力で上位を狙うグローバル企業 |
| UGREEN | ケーブルと接続機器から全カテゴリー、NASへ広げた上場企業 |
| Baseus | デザイン、使い勝手の工夫、価格、商品展開の速さに強い身近なブランド |
Baseusは、Ankerほど高価格帯の技術ブランドとして確立しているわけではなく、UGREENのNASのような新しい事業の柱もまだ発展途上です。その一方で、便利さがすぐに伝わる機能を見つけ、手の届きやすい価格で素早く商品化する力があります。
中国市場での位置づけを簡潔にいえば、知名度と販売規模を備えた主要ブランドでありながら、最高級ブランドというより、価格と機能のバランスで選ばれる存在です。
中国での評判、支持される理由と課題
Baseusが中国で評価される理由は明確です。
- 無名製品よりブランドと製品情報が分かりやすい
- Ankerより低い価格帯で似た機能を選べることが多い
- 巻き取り式、画面表示、ケーブル内蔵など便利さが伝わりやすい
- 外観が整っており、若いユーザーが選びやすい
- ECで製品数が多く、セール時の価格競争力がある
一方、中国のユーザーやメディアから指摘される弱点もあります。
- 製品数が多く、カテゴリーや世代によって完成度に差がある
- 外部サプライヤーを広く使うため、品質管理が難しくなる
- 充電器やケーブルは強いが、全カテゴリーで専門ブランドに勝つわけではない
- 無名の低価格製品とAnkerのような上位ブランドの間で競争が激しい
- モバイルバッテリーの安全問題でブランド信頼が傷ついた
したがって、Baseusを単に「中国版Anker」と呼ぶのは正確ではありません。Ankerは研究開発への投資と複数ブランドの展開で先行し、Baseusはデザイン、使い勝手、価格、商品化の速さを強みにしています。
Baseusで特に注目したい製品
| 製品・シリーズ | 注目する理由 |
|---|---|
| EnerCore CJ11 67W | 巻き取り式ケーブルとGaN充電器を一体化した代表作 |
| NOMOS 5-in-1 140W | Qi2、巻き取り式ケーブル、画面、高出力を一体化 |
| PicoGO AM41 | 薄さを重視した日常向けマグネット式モバイルバッテリー |
| Inspire XC1 / XP1 / XH1 | Bose監修で上位音響市場へ挑戦する新シリーズ |
| Nomos NU1 Air | デスク整理と多ポート拡張を両立するPC向け製品 |
| PrimeTrip | 巻き取り式ケーブルを車内へ応用した車載シリーズ |
初めてBaseusを試すなら、ブランドの持ち味が分かりやすい巻き取り式USB-Cケーブルや、用途に合ったGaN充電器から選ぶのがおすすめです。多ポートモデルは、複数台をつないだときの出力配分も確認しておきましょう。
日本では公式ストアを基準に見る
Baseusは日本公式サイトとAmazon公式ストアを展開し、公式サイトでは24か月保証を案内しています。購入時は販売元を確認し、モバイルバッテリーではPSE表示と型番も見ておくと安心です。
まとめ:Anker以外にも知っておきたい中国の有力ブランド
Baseusは、中国・深圳でスマートフォン周辺機器から成長したブランドです。「Base on User」を掲げ、充電器、ケーブル、モバイルバッテリーに、収納、巻き取り、画面表示、薄型化といった分かりやすい工夫を加えてきました。
中国では、通販市場で大きな販売力を持つ主要なデジタル周辺機器ブランドです。Ankerより価格を抑えた製品が多く、UGREENとは異なる、暮らしの場面とデザインを重視した製品づくりに特徴があります。
現在のBaseusを象徴するのは、巻き取り式の充電製品、NOMOSのデスク充電器、PicoGOの薄型モバイルバッテリー、Bose監修のInspireです。身近な製品に残る小さな不便を見つけ、分かりやすい機能としてまとめる企画力は、同社ならではの個性になっています。
一方、モバイルバッテリーのリコールや中国での認証問題を経験し、品質と安全への信頼は今も重要な課題です。Baseusは「何を買っても安心な絶対的トップブランド」というより、製品ごとの仕様と評価を見ながら選ぶ価値のあるブランドです。
日本ではAnkerの知名度が先行していますが、中国発の優れたデジタルブランドを知るうえで、UGREENとBaseusは外せません。価格だけでなく、製品の使い方とデザインまで比べると、中国の周辺機器市場がAnker一社だけではないことがよく分かります。
この記事の情報源について
メーカーの公式情報を中心に、日本語・中国語を含む国内外のレビューや利用者の声を照合して構成しています。