中国の家庭用ルーター市場を見ると、Wi-Fi 7はすでに高級機だけの規格ではありません。TP-LINK、小米(Xiaomi)、中興(ZTE)が100~300元台のモデルを投入し、一般家庭でも選びやすい価格まで下がっています。
本稿では、中国のECで目立つ評価件数、自営店の熱売表示、実売価格を手がかりに、人気モデルを整理します。ECプラットフォームは正式な販売台数を公開しておらず、評価件数には旧モデルやバリエーションが合算される場合もあります。そのため、順位は厳密な販売台数ランキングではなく「現在の売れ筋を読むための目安」です。
結論:中国ではTP-LINK・ZTE・Xiaomiが売れ筋の中心
| 目安 | ブランド | 中国で目立つモデル | 中国での参考価格 | 評価される理由 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | TP-LINK 普聯 | BE3600/TL-7DR3610 | 約159~249元 | 百元台まで下がった定番入門機。設定の分かりやすさと販売網が強い |
| 2 | ZTE 中興 | 巡天 BE5100Pro+ | 約329~399元 | デュアル2.5GbE、高速回線やNASにも対応しやすい |
| 3 | Xiaomi 小米 | BE3600/BE6500 Pro | 約199~299元/約599~799元 | Xiaomi Home連携、メッシュ、スマートホームとの相性 |
普通の家庭でWi-Fi 7へ安く移行するならTP-LINK BE3600系、2.5GbEを2ポート使いたいならZTE 巡天BE5100Pro+、Xiaomi製品を多く使う家庭ならBE3600またはBE6500 Proという分け方が分かりやすいでしょう。
そもそもWi-Fi 7とは
Wi-Fi 7はIEEE 802.11beを基礎にした無線LAN規格です。商品名の「BE3600」「BE5100」は、対応する周波数帯の理論速度を合計したクラス表記であり、1台のスマートフォンでその速度が出るという意味ではありません。
家庭で関係しやすい改善は主に三つあります。
- MLO(Multi-Link Operation):2.4GHz、5GHz、対応機では6GHzなど複数のリンクを利用し、混雑や遅延を抑える
- 4K-QAM:良好な電波環境で一度に送れる情報量を増やす
- Multi-RUなどの効率化:多数の端末が同時通信する環境で、周波数資源を柔軟に割り当てる
ただし、ルーターとスマートフォンやPCの双方がWi-Fi 7の該当機能に対応している必要があります。1Gbps回線、Wi-Fi 6端末中心の家庭では、ルーターだけを交換してもインターネット速度が何倍にもなるわけではありません。
TP-LINK BE3600/7DR3610:最も分かりやすい入門機
中国で最も爆款らしい動きを見せるのが、TP-LINKのBE3600クラスです。TL-7DR3610は2.4GHzと5GHzのデュアルバンドで、MLO、4K-QAM、Multi-RUなどWi-Fi 7の主要機能を低価格帯へ持ち込んでいます。
強みは価格と普及規模です。セールでは約159元、通常でも199~249元前後で見かけるため、古いWi-Fi 5/Wi-Fi 6ルーターからの更新候補になっています。中国ECで非常に大きな評価件数が表示されることも、売れ筋を示す一つのシグナルです。ただし、その数字を単一型番の実販売台数とは見なせません。
日本で近い立ち位置にあるのはArcher BE220です。BE3600クラスのデュアルバンドWi-Fi 7とEasyMeshに対応する一方、有線ポートはギガビットです。1Gbps以下の回線を手頃に更新する用途には合いますが、2.5GbE NASや2Gbps以上の回線を生かすモデルではありません。
ZTE 巡天BE5100Pro+:300元台でデュアル2.5GbE
中国市場で一段上のコストパフォーマンスを狙う人に選ばれているのが、ZTE 巡天BE5100Pro+です。約329~399元の価格帯で、2.5GbEポートを2基備える構成が大きな特徴です。
2.5GbEのWANとLANを同時に確保しやすいため、2000Mbps級の回線、2.5GbE対応NAS、家庭内の大容量ファイル転送に向きます。自社系のCPU/NPU構成、複数の信号増幅器、MLO、メッシュ対応も訴求点です。中国ECで大きな評価件数を持つ人気モデルですが、日本向けの正式販売、回線対応、保証を確認できない中国国内版をそのまま輸入することは勧めません。
Xiaomi BE3600/BE6500 Pro:スマートホームとの一体感
Xiaomi BE3600は約199~299元で、Wi-Fi 7を安く導入するモデルです。上位のBE6500 Proは約599~799元で、より高速な有線接続や処理性能、Xiaomiのスマートホーム連携を重視する層に向きます。
Xiaomiの強みは、単純な無線速度だけではありません。Xiaomi Home、メッシュネットワーク、Bluetoothゲートウェイ、Xiaomi/Redmi/POCO端末の優先制御など、家庭内のXiaomi製品をまとめやすい点にあります。中国ECではBE3600、BE6500 Pro、BE7000など複数価格帯が目立ち、ブランド内で選択肢が広いことも人気の理由です。
日本ではXiaomi Mesh System BE3600 Proが正式販売されています。3570Mbpsクラスのデュアルバンド、2.5GbEポート、MLO、Xiaomi Home、Bluetooth Meshゲートウェイに対応し、中国市場で評価される方向性を日本仕様で試せます。
中国の価格と評価を、日本でどう参考にするか
中国で売れているモデルを見る意味は、国内版をそのまま輸入することではありません。どの価格帯で、どの機能が一般家庭へ普及しているかを知ることにあります。
中国では、百元台のBE3600が入門機、300元台でデュアル2.5GbE、600元前後から高速ポートやスマートホーム機能を強化した上位機という構図が見えます。日本で選ぶ際も、ブランド名より次の順で確認すると失敗しにくくなります。
- 契約回線が1Gbps以下か、2Gbps/10Gbpsか
- WANとLANの両方に2.5GbE以上が必要か
- Wi-Fi 7対応端末を何台持っているか
- 戸建てや広い間取りでメッシュが必要か
- 日本のIPv6 IPoE、技適、保証に対応する国内モデルか
中国国内版を日本で常用しないほうがよい
中国向けルーターは安価でも、日本で使う無線機器に必要な技術基準適合証明、いわゆる技適を取得していない場合があります。利用できる周波数、出力、ファームウェア、管理アプリの地域設定も同じとは限りません。
さらに、日本のIPv6 IPoE方式への対応、国内プロバイダーとの相性、セキュリティ更新、保証窓口も確認が必要です。中国の人気モデルは市場トレンドの参考にし、実際に日本で使う製品は日本向け正規モデルから選ぶのが安全です。
日本で買うなら
1Gbps以下の回線で価格を抑えるならTP-Link Archer BE220、Xiaomi Homeやメッシュを重視するならXiaomi Mesh System BE3600 Proが分かりやすい候補です。HUAWEIを含む日本向けWi-Fi 7製品もありますが、リンク先の商品ページでポート構成、対応回線、技適と保証を必ず確認してください。
普通の家庭では、規格上の最大速度より、ルーターの置き場所と有線ポートが重要です。1Gbps回線なら手頃なBE3600クラスで十分な場合が多く、1Gbpsを超える回線やNASを使う家庭では、WANとLANの両方に2.5GbE以上を備えるかを優先して選びましょう。
参考資料・情報源
メーカー公式情報を中心に、日本語・中国語を含む国内外の資料を照合して構成しています。