ARグラスやスマートグラスを探していると、XREALはよく見かける一方で、RokidやINMOは日本ではまだ知名度が高くありません。ただ、中国や海外のXRガジェット界隈では、Rokidは外付け大画面グラスの有力ブランド、INMOは単体でAndroidアプリを動かす一体型ARグラスとして存在感があります。

この3ブランドは同じ「メガネ型デバイス」に見えますが、実は完全な横並びではありません。RokidとXREALは、スマホ、PC、ゲーム機につないで大画面を表示する「外付けディスプレイ型ARグラス」が中心です。INMO Air3は、グラス自体にチップ、メモリ、ストレージ、カメラ、Android環境を持つ「一体型ARグラス」です。つまり、XREALとRokidは直接比較しやすい。INMOは同じ土俵に置きつつ、別カテゴリとして見るのが正確です。

結論から言うと、映画、ゲーム、PC作業の外部モニターとして選ぶならXREAL One Pro / 1Sが最も無難です。視力補正ダイヤル込みでコスパを見たいならRokid Max系。単体でAndroidアプリを動かす実験的なAR端末が欲しいならINMO Air3。ただし、INMOはバッテリーと発熱、完成度の面で覚悟が必要です。

XREAL One Proの公式製品画像 画像: XREAL公式ストア

まず、この3ブランドは何が違うのか

ブランド主流モデル製品タイプ得意なこと注意点
RokidRokid Max / Max 2外付けディスプレイ型ARグラス映画、ゲーム、USB-C接続、視度調整対応端末と周辺機器の確認が必要
INMOINMO Air3 / GO3一体型AR / AIスマートグラス単体Android、アプリ、カメラ、AI機能電池持ち、発熱、完成度に注意
XREALXREAL One Pro / 1S / One外付けディスプレイ型ARグラス低遅延、大画面、3DoF、国内情報量価格、IPD、度付きレンズが課題

日本で買いやすいという意味では、XREALが一歩先です。公式ストア、レビュー、量販店・Amazon情報が多く、XREAL One、One Pro、1S、Beam Proなどラインアップも整理されています。Rokidも日本公式ページがあり、Rokid Max 2はAmazon販売開始が案内されていますが、製品ごとの情報整理はXREALほど多くありません。INMOは公式サイトやAmazon販売はあるものの、日本語レビューはまだ少なく、海外レビューやユーザー報告を合わせて判断する必要があります。

主要スペック比較

項目Rokid Max / Max 2INMO Air3XREAL One Pro
表示方式Micro-OLEDSony Micro-OLED + 1D導波路Sony製Micro-OLED + X Prism
解像度1920×1080×21920×10801080p、400万ピクセル級
視野角約50度36度57度
明るさ最大600nits級最大600nits最大700nits
リフレッシュレート最大120Hz級最大120Hz最大120Hz
重量約75g公称は要確認、オールインワン型で大きめ公式ページでは快適性重視、IPD 2サイズ
処理能力接続先端末に依存Snapdragon系、8GB RAM、128GB ROMXREAL X1チップ搭載
バッテリー本体バッテリーなし、接続先から給電660mAh、動画視聴は短め本体バッテリーなし、接続先から給電
カメラなし16MP、1080p動画6DoFには別売XREAL Eyeが必要
向く用途映画、ゲーム、スマホ大画面化単体ARアプリ、実験的な日常AR映画、ゲーム、PC作業、移動中の大画面

この表を見ると、INMO Air3だけ性格が違うことがわかります。RokidとXREALは「軽いディスプレイを顔に付ける」製品です。INMO Air3は「小さなAndroid端末を顔に付ける」製品です。できることは多い反面、電池、熱、操作性、重量感のハードルが上がります。

Rokid:視度調整と価格感が魅力の大画面ARグラス

Rokidの主力は、Rokid Max / Max 2系です。日本公式情報では、Rokid Max 2は75g、Micro-OLED、最大215インチ相当、両眼1920×1080、視野角50度、最大600nits、USB Type-CのDisplayPort Alt Mode接続、3DoF、0.00〜-6.00Dの視度調整に対応します。

Rokid Max系の公式イメージ 画像: Rokid公式サイト

Rokidの一番わかりやすい強みは、近視の人がメガネなしでも使いやすい視度調整です。XREALでも度付きレンズフレームは使えますが、別途レンズを作る必要があります。Rokid Max系はダイヤルである程度の近視補正ができるため、家族で共有したり、コンタクトを付けずに動画を見る用途ではかなり便利です。

使い道はシンプルです。USB-Cでスマホ、PC、携帯ゲーム機につなぎ、目の前に大画面を表示する。Nintendo Switch、Steam Deck、ROG Ally、ノートPC、USB-C映像出力対応スマホと組み合わせると、移動先やベッド上で大画面環境を作れます。映像視聴とゲームが中心なら、Rokidはかなり現実的な選択肢です。

注意点は、対応端末の確認です。USB-Cなら何でも映るわけではなく、DisplayPort Alt Modeに対応している必要があります。iPhone 15以降や一部Android、ノートPCなら使いやすい一方、古いiPhoneや映像出力非対応スマホでは別途アダプターや専用端末が必要になります。また、ARといっても現実空間に本格的な3Dオブジェクトを置く用途ではなく、基本は「顔に装着する大画面モニター」と考えたほうが失敗しません。

INMO:単体で動くのは面白いが、万人向けではない

INMO Air3は、RokidやXREALとは思想が違います。公式サイトでは、1080Pフルカラー導波路ディスプレイ、Sony Micro-OLED、36度の視野角、最大600nits、120Hz、Snapdragon系8コアプロセッサ、8GB RAM、128GB ROM、16MPカメラ、4マイク、2スピーカー、660mAhバッテリーなどを掲げています。

INMO Air3の公式製品画像 画像: INMO公式サイト

最大の魅力は、スマホやPCに頼らず、グラス単体でAndroidアプリを動かせることです。INMOはGoogle PlayやINMO App Store、AIアシスタント、マルチスクリーン、カメラ、音声操作、リングコントロールなどを訴求しています。これはXREALやRokidのような外部ディスプレイ型ではできない方向です。

ただし、ここがそのまま弱点にもなります。単体Android機として動くということは、バッテリー、熱、処理性能、UI操作、アプリ互換性のすべてを小さなグラス内で解決しなければいけません。海外レビューでは、INMO Air3は消費者向けスタンドアロン型スマートグラスとして能力は高い一方、バッテリー持ちが大きな弱点として扱われています。公式スペックでも、音楽再生は最大3時間、動画視聴は最大1.5時間、動画撮影は最大1時間とされ、長時間の映画鑑賞や作業用には厳しい数字です。

INMOは、実用一点張りで買うより「一体型ARグラスの現在地を試したい人」に向いています。アプリをグラス側で動かしたい、カメラやAI機能も含めて試したい、開発や検証に使いたい人には面白い。一方で、ただ映画を見たい、PCの外部モニターにしたい、失敗しにくい買い物をしたい人には、XREALやRokidのほうが素直です。

XREAL:日本で一番選びやすいARグラスブランド

XREALは、日本でARグラスを買うなら最初に比較対象になるブランドです。現行の主力はXREAL One Pro、XREAL One、XREAL 1Sです。特にXREAL One Proは、公式ページで84,980円、XREAL X1チップ、X Prism光学エンジン、57度視野角、最大700nits、120Hz、3ms級の低遅延、ネイティブ3DoF、別売XREAL Eyeによる6DoF対応をうたっています。

XREALの強みは、製品の完成度と周辺情報の多さです。日本語レビューが多く、YouTubeでも検証が進んでいます。XREAL One Proは、飛行機や新幹線での動画視聴、寝ながら映画、ノートPCの仮想大画面化、携帯ゲーム機との接続に強い。X1チップにより、外部端末やアプリに頼らず3DoFの空間固定ができる点も大きな進化です。

一方で、価格は安くありません。One Proは8万円台で、初心者が「ちょっと試す」には重い買い物です。また、IPDが合わないと画面端がぼやける、メガネユーザーはインサートレンズが必要、屋外での視認性は万能ではない、といった注意点もあります。レビューでも、視野角57度と低遅延は高評価ですが、IPDとレンズ問題は購入前に確認すべきポイントとして繰り返し指摘されています。

XREAL 1Sは、One Proより価格を抑えつつ、X1チップや3DoF、低遅延を使いたい人向けです。XREAL One Proほど大きい視野角や最新光学系を求めないなら、1SやOneのほうが現実的な選択になる可能性があります。

使い道別のおすすめ

映画や動画を大画面で見たいなら、第一候補はXREAL One Pro、次点でRokid Max系です。映像の安定感、レビュー量、国内情報を重視するならXREAL。価格と視度調整を重視するならRokidです。

ゲーム用途なら、XREAL One Pro / 1Sが扱いやすいです。低遅延、120Hz、3DoFの空間固定が効きます。Rokidもゲーム向きですが、接続端末やアダプターの相性確認が重要です。特にPCやゲーム機で120Hzを狙う場合、ケーブル、解像度、出力設定でつまずくことがあります。

PC作業なら、XREAL One Proが最も無難です。画面固定、視野角、レビュー情報が揃っており、モバイルワーカー向けの情報も多い。ただし、細かい文字を長時間読む用途では、どのARグラスでも目の疲れや画面端の見え方が問題になります。作業用メインモニターの代替ではなく、出先のサブ環境として考えるべきです。

スマホなしでARアプリを使いたいならINMO Air3です。単体でAndroidアプリを動かせることは明確な強みです。ただし、日常的な完成度で選ぶ製品ではなく、電池持ち、発熱、操作性を許容できる人向けです。

日本で初めて買うなら、XREALが一番失敗しにくいです。Rokidは視度調整と価格で魅力がありますが、モデルや周辺機器を理解して選ぶ必要があります。INMOは一番尖っていますが、一番人を選びます。

購入前に必ず確認したいこと

確認項目なぜ重要か
USB-C映像出力スマホやPCがDisplayPort Alt Modeに対応しないと映らない
iPhoneの世代直接接続しやすいのはUSB-C搭載モデル以降
IPD合わないと画面端がぼやける、欠ける
視力補正XREALは度付きレンズ、Rokidは視度調整、INMOは要確認
屋外利用明るい場所では見えにくく、完全なサングラス代わりにはならない
長時間利用目の疲れ、鼻への荷重、こめかみの圧迫が出る
返品・保証海外ブランドは販売元と保証条件を確認したい

ARグラスは、スペックだけで選ぶと失敗しやすい製品です。特にIPDと視力補正は、実際の見え方に直結します。可能なら店頭やイベントで試着したほうがよいです。難しい場合は、返品条件のある販売元を選ぶのが安全です。

総評:XREALは本命、Rokidはコスパと視度調整、INMOは未来志向

Rokid、INMO、XREALをまとめて見ると、同じスマートグラスでも方向性はかなり違います。XREALは、日本で今買うARグラスとして最も本命に近いブランドです。One Proは高いですが、映像体験、低遅延、3DoF、国内レビュー量のバランスがよく、映画、ゲーム、PC作業のどれにも使いやすい。

Rokidは、視度調整と価格感が魅力です。Rokid Max / Max 2系は、メガネなしで大画面を楽しみたい近視ユーザーに刺さります。XREALほど情報は多くありませんが、映画・ゲーム用途なら十分候補になります。

INMO Air3は、最も野心的です。単体Android、カメラ、AI、アプリ実行まで入れた一体型ARグラスは、将来の方向性として面白い。ただ、2026年時点では電池持ちと完成度の制約が大きく、一般ユーザー向けの無難な買い物ではありません。

初めてならXREAL。視度調整を重視するならRokid。未来感と実験性を求めるならINMO。この整理で選ぶと、自分に合うARグラスをかなり絞り込みやすくなります。

参考・出典

製品仕様や評価の確認に使用した主な公式情報・レビューです。

  1. Rokid Japan Rokid Max 2 release
  2. Rokid Max official product page
  3. INMO Air3 official
  4. INMO Air3 specifications
  5. INMO GO3 PR Newswire
  6. XREAL One Pro official Japan
  7. XREAL 1S Amazon launch news
  8. XREAL Air 2 Ultra discontinued notice
  9. bananalab XREAL One Pro review
  10. Android Faithful INMO Air3 review