従来のロボット芝刈り機は、芝生の外周へ電線を埋め、機械がその信号を境界として走る方式が一般的でした。最近はMammotionやSegway Navimowが、RTK測位、ネットワークRTK、カメラ、LiDARを使い、アプリ上の地図だけで範囲を指定する製品を増やしています。
境界線ワイヤーが不要なら設置は簡単に見えます。しかし、日本の庭は海外の広い一枚芝と異なり、塀、樹木、飛び石、砂利、狭い通路、傾斜、複数の小区画が混在します。購入前には面積より、空が見える範囲と機械が通れる幅を測る必要があります。
MammotionとNavimowはどんなブランドか
ロボット芝刈り機では、スウェーデンのHusqvarnaなど欧州勢が長く市場を作ってきました。その中でMammotionとSegway Navimowは、境界線ワイヤーを敷かず、衛星測位とカメラで庭を地図化する方式を一気に普及させた中国発の主要ブランドです。中国国内より、芝生の広い欧州、北米、オセアニアで先に販売規模を伸ばした点も共通します。
| ブランド | 背景 | 主な革新 | 海外展開 |
|---|---|---|---|
| Mammotion | 2022年創業、深圳を拠点とする屋外ロボット企業 | 四輪駆動、RTK、複数区画管理、カメラ・LiDARの統合 | 北米、欧州、アジア太平洋など30以上の国・地域 |
| Segway Navimow | 中国のSegway-Ninebot系ロボット芝刈り機ブランド。2021年発表、2022年から市場展開 | RTKを使うEFLS、VisionFence、規則的な走行、ワイヤレス境界 | 欧州を起点に北米、オセアニアなどへ拡大 |
Mammotion:四輪駆動を芝刈りロボットへ持ち込んだ新興企業
Mammotionは深圳発の屋外ロボット企業で、2022年にLUBAをクラウドファンディングで公開して注目を集めました。従来のロボット芝刈り機は平坦な芝生を小さな二輪で走る製品が多かったのに対し、LUBAは四輪駆動と独立した車輪制御を採用し、急傾斜、凹凸、複数区画を前面に出しました。
その後、狭い庭向けのLUBA mini、芝の回収機能を持つYUKA、RTKとカメラ、LiDARを組み合わせた世代へ展開しています。ハードウェアの進化が速く、難しい庭へ対応する力が評価される一方、モデル更新、アプリ、クラウド機能、修理体制が販売地域ごとに変わりやすい点は確認が必要です。
Mammotionは現在30以上の国と地域で事業を展開しています。Frost & Sullivanの調査では、2024年7月から2025年6月の境界線ワイヤー不要ロボット芝刈り機市場で、世界売上高1位とされています。単価の高い四輪駆動モデルが多いため、これは販売台数ではなく売上金額の首位です。
Segway Navimow:移動ロボット技術を家庭の庭へ
NavimowはSegway-Ninebotグループのロボット芝刈り機事業です。Segwayは米国発の立ち乗りモビリティとして始まり、2015年に中国のNinebot傘下となりました。その移動制御、モーター、測位技術を屋外作業へ広げ、2021年に最初のNavimow Hシリーズを発表しました。
初代からRTK衛星測位を使って物理的な境界線を不要にし、アプリ上で刈る範囲と進入禁止エリアを指定できることが特徴でした。iシリーズではVisionFenceカメラを加えて小型庭へ価格を下げ、Xシリーズでは広い芝生と高速作業へ拡大しています。高価な専門機だけだったワイヤレス式を、一般家庭が検討しやすい価格帯へ広げた点が大きな革新です。
Euromonitor Internationalの調査では、Navimowは2024年のワイヤレス式ロボット芝刈り機で世界販売台数1位と認定されています。Mammotionの「売上高1位」とNavimowの「販売台数1位」は集計指標が異なるため、矛盾ではありません。両社とも、ワイヤレス式の世界市場を代表するブランドと見てよいでしょう。
MammotionとNavimowの方向性
| 製品群 | 測位の方向 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| Mammotion LUBA mini 2 AWD | NetRTK+複数カメラ、モデルによりLiDAR | 四輪駆動、急傾斜、複数区画 | 大きさ、価格、通信と販売地域 |
| Segway Navimow iシリーズ | RTK/GNSS+VisionFence | 小型芝生、整然とした走行 | アンテナ設置と衛星の見通し |
| 新世代LiDAR機 | LiDAR+カメラ | 木や壁の多い小庭に適応しやすい | 暗さ、雨、ガラス面、価格 |
2026年は両社ともモデル更新が速く、同じシリーズ名でも測位方式が異なります。型番単位でRTKアンテナの要否、4G料金、最大面積、傾斜、刈高を確認します。
Mammotion LUBA mini 2 AWD
カメラとネットワーク測位を組み合わせるLUBA mini 2 AWD。画像:Mammotion公式サイト
LUBA mini 2 AWDはコンパクトな四輪駆動モデルで、最大80%・約38.6度の傾斜対応を掲げます。LUBA mini 2 AWD 1000は6.1Ahバッテリー、最大150分の公称運転、最大1000㎡の自動マッピングを特徴とします。
四輪駆動は傾斜、凹凸、芝の境界で有利ですが、旋回時に柔らかい芝を削る可能性があります。狭い場所で頻繁に方向転換する庭では、走行パターンと旋回方法を調整し、雨後の柔らかい地面で使わないようにします。
ネットワークRTKは物理アンテナを減らせますが、対象地域のサービス提供、4GまたはWi-Fi、無料期間、その後の料金が重要です。日本で正式にサービスと保証が提供されるかを購入前に書面で確認します。
Segway Navimow iシリーズ
境界線ワイヤーなしで小型芝生を管理するNavimow iシリーズ。画像:Segway Navimow公式サイト
Navimow iシリーズは小型の芝生向けで、アプリ上で境界、進入禁止エリア、区画間の通路を設定します。GNSSアンテナとEFLS測位、VisionFenceカメラを組み合わせ、規則的な走行で刈り残しを減らす設計です。
RTK/GNSS方式は本体と基準局の両方が衛星を見通せることが重要です。高い塀、住宅の壁、樹冠の下、金属屋根の近くでは信号が反射・遮断されます。アンテナを高い位置へ置けても、本体が走る細い建物脇で測位できるとは限りません。
日本の庭で重要な5条件
1. 最小通路幅
芝生の区画が飛び石や物置で分かれている場合、本体幅に余裕を足した通路が必要です。仕様上通れる幅でも、壁と段差の間では障害物回避が働いて停止することがあります。最も狭い場所を実測します。
2. 芝と花壇の境界
ロボットの刃は本体端ぎりぎりまで届きません。壁、縁石、花壇の境界には数cmの刈り残しが出ます。境界と同じ高さの舗装帯を作れば車輪が乗り上げて端まで刈りやすくなりますが、段差がある場所は手作業が残ります。
3. 空と電波
RTK機は購入前に充電ステーション、基準局、芝生各部から空が見えるか確認します。LiDAR機は衛星に頼りにくい一方、雨、暗さ、汚れ、細い物体の認識を確認します。家のWi-Fiが庭全体へ届くかも測ります。
4. 傾斜と路面
メーカーの最大傾斜は理想条件の上限です。横方向の傾斜、湿った芝、穴、縁石が重なると能力は下がります。傾斜の下が道路、池、階段なら、公称範囲内でも物理的な柵を用意します。
5. 充電場所
充電ステーションには屋外電源、平らな地面、前方の進入空間が必要です。延長コードを常設する場合は屋外対応、防水接続、漏電保護を確認します。洪水や落雪がある場所へ置きません。
AIカメラは安全装置の補助
カメラは人、ペット、ボール、ホースなどを避ける助けになりますが、すべての障害物を必ず認識するわけではありません。細いひも、低い玩具、落ち枝、ハリネズミなど小動物は条件によって見落とす可能性があります。
運転前に庭を点検し、子どもとペットが遊ぶ時間を避け、夜間運転を控えます。刃の交換、清掃、詰まり除去は電源を切り、セキュリティキーなど説明書の停止手順を実行してから行います。
芝刈りの仕上がりは頻度で作る
ロボット芝刈り機は伸びた草を一度に短くする機械ではありません。毎日または数日おきに数mmずつ刈り、細かい刈草を芝へ戻すことで高さを維持します。
初回は人が芝を通常の長さまで刈り、枝、石、ホースを除去してからロボットを導入します。一度に刈高を下げすぎると芝へ負担がかかり、長い草が内部へ絡みます。季節と芝種に合わせて刈高を調整します。
盗難とクラウド依存
高価な機械を屋外へ常設するため、GPS追跡、4G、PIN、アカウント紐付け、持ち上げ警報を確認します。それでも物理的に持ち去られる可能性はあります。道路から見えにくい充電場所、固定できるガレージ、防犯カメラ、住宅保険の対象を検討します。
地図、スケジュール、遠隔操作がクラウドへ依存する製品では、サービス終了や通信障害もリスクです。オフラインで開始・停止できるか、地図のバックアップ、4G無料期間後の扱いを確認します。
日本で買う前の最大の確認事項
MammotionとNavimowは海外で広く販売されていますが、モデルごとの日本正式販売、技適、電源、4Gサービス、保証、修理拠点は同じとは限りません。並行輸入品はアプリの地域制限、SIM、交換バッテリー、往復送料で困る可能性があります。
- 日本向け正規販売か
- 無線機能の適合表示があるか
- 日本の100V電源とプラグへ対応するか
- 故障時の国内送付先があるか
- 刃、バッテリー、車輪を継続購入できるか
- NetRTK・4Gサービスを日本で利用できるか
これらを販売店へ確認し、回答を保存してから購入します。
どちらが向くか
- 傾斜と凹凸が多く、四輪駆動を優先するならMammotion LUBA mini系
- 比較的平坦な小型芝生と整った外周ならSegway Navimow iシリーズ
- 壁や樹木で空が見えにくい小庭ならLiDAR搭載モデルを優先検討
境界線ワイヤー不要のロボット芝刈り機は、設置工事を減らし、庭の区画変更にも対応しやすい製品です。しかし、日本での実用性は最大面積ではなく、狭い通路、衛星の見通し、端の処理、正規サポートで決まります。現地確認なしで個人輸入するより、返品可能な国内販売と庭の実測を優先するべき製品です。
掲載したAmazonリンクのうち、Mammotionは本文のLUBA mini 2 AWDより大型のLUBA 5000Hシリーズです。もう一方はNavimowではなく、HAIGEのHG-RMA302で、境界線を敷設して使う約300㎡向けの入門モデルです。ワイヤレス測位が必要ならNavimowの国内正規販売を別途確認し、価格を抑えて境界線方式を選べるならHAIGEを比較候補にしてください。
参考資料・情報源
メーカー公式情報を中心に、日本語・中国語を含む国内外の資料を照合して構成しています。