2万〜3万円の完全ワイヤレスイヤホンでは、Sony、Apple、Boseだけでなく、中国発ブランドも有力な選択肢になりました。AnkerのSoundcoreは日本で定番になり、Xiaomiはスマートフォンとの連携と音響構成を強化。HUAWEIも音質、通話、ノイズキャンセリングを上位価格帯まで引き上げています。
今回比較するのは、日本で正式販売されている Soundcore Liberty 5 Pro、Xiaomi Buds 5 Pro、HUAWEI FreeBuds Pro 5 です。発売時価格はおよそ2万5,000〜3万円で、いずれもノイズキャンセリング、外音取り込み、ハイレゾ系コーデック、マルチポイントを備えます。
先に結論をまとめると、選ぶ基準は次の通りです。
- PCとスマートフォンを行き来し、通話を最優先するなら Soundcore Liberty 5 Pro
- Xiaomiスマートフォンと音質・録音・翻訳機能を組み合わせるなら Xiaomi Buds 5 Pro
- 音のバランス、ANC、装着感、通話を総合的に求めるなら HUAWEI FreeBuds Pro 5
ブランド名だけで選ぶより、自分のスマートフォン、利用するコーデック、通話時間、耳へのフィットを確認するほうが失敗を減らせます。
画像:HUAWEI日本公式サイト
3機種の基本比較
| 製品 | 発売時価格 | 音響・コーデック | ANCオンの公称電池 | 接続 | 得意分野 |
|---|---|---|---|---|---|
| Soundcore Liberty 5 Pro | 26,990円 | SBC / AAC / LDAC、Dolby Audio | 本体6.5時間、ケース込28時間 | 最大3台、LDAC時2台 | 通話、PC併用、強いANC |
| Xiaomi Buds 5 Pro | 24,980円、Wi-Fi版27,980円 | 3ドライバー、aptX Lossless、Harman AudioEFX | 使用条件で変動 | Bluetooth 5.4、対応Xiaomiで機能拡張 | Xiaomi連携、解像感、録音・翻訳 |
| HUAWEI FreeBuds Pro 5 | 29,480円から | 2ドライバー、LDAC、10Hz〜48kHz | AACで本体6時間、ケース込25時間 | 2台マルチポイント | 音質、ANC、通話、装着感の総合力 |
表の数値はメーカーの試験条件によるものです。ノイズキャンセリングの強さは、各社が異なる方法で測っているため、「最大○dB」だけを横並びにして順位を決めることはできません。耳の形とイヤーチップの密閉が悪ければ、どの機種でも低音とANC性能が落ちます。
また、LDACやaptX Losslessを有効にすると電池と接続安定性が変わります。iPhoneは基本的にAAC接続になるため、Android向け高音質コーデックの有無だけで選ぶ意味は小さくなります。
Soundcore Liberty 5 Pro:通話と複数端末が強い
Soundcore Liberty 5 Proは、2026年5月に登場したLibertyシリーズの上位モデルです。日本公式価格は26,990円。独自AIチップ「Thus」、8基のマイク、骨伝導センサーを使い、ノイズキャンセリングと通話音声の処理を重視しています。
特徴的なのは最大3台のマルチポイントです。スマートフォン、PC、タブレットを仕事で使う人なら、2台接続より切り替えの手間を減らせます。ただし、LDAC使用時は同時接続が2台になるため、「高音質と3台接続を同時に使える」と誤解しないようにします。
ケースの小型ディスプレイでは、電池残量、ANC、EQ、マルチポイントをスマートフォンなしで操作できます。イヤホン本体はIP55。ANCオンの公称再生時間は本体6.5時間、ケース込み28時間です。長いオンライン会議と移動を一日で続けるなら、昼休みにケースへ戻す運用が現実的です。
第三者レビューでは評価が分かれます。TechRadarは通話、装着の安定、機能の多さを高く評価しました。一方、What Hi-Fiは、機能とフィットは十分だが、同価格帯の優秀な製品を上回る音質ではなく、電池も競合より短いと評価しています。つまり、Liberty 5 Proは「音楽だけの最高音質」より、仕事を含む多用途型です。
同シリーズには36,990円のLiberty 5 Pro Maxもありますが、AI録音、文字起こし、大型AMOLEDケースなどが主な追加価値です。音楽と通話が目的ならProで十分です。AI録音を重視する場合も、既存のAI録音デバイス比較と料金・同意・クラウド保存まで比べる必要があります。
Xiaomi Buds 5 Pro:スマートフォンとの組み合わせで価値が変わる
Xiaomi Buds 5 Proは、11mmデュアルマグネット型ドライバー、セラミックツイーター、平面ドライバーを組み合わせた3ドライバー構成です。aptX Losslessに対応し、Harman AudioEFXのEQを用意。日本発売時はBluetooth版が24,980円、Wi-Fi版が27,980円でした。
画像:Xiaomi日本公式サイト
メーカーは最大55dB、5kHz帯域のANCを掲げていますが、これは所定条件のラボ値です。重要なのは、アプリで強度を調整できること、イヤーチップが合うこと、電車・低い空調音・人の声など異なる騒音で不自然な圧迫感がないことです。
Xiaomiらしい特徴は録音、文字起こし、翻訳です。イヤホンを装着中、またはケースから出した状態で録音でき、対応するスマートフォンやアプリと連携します。ただし、すべての機能が全AndroidとiPhoneで同じように動くわけではありません。公式ページも、32kHz HD通話など一部機能の対応スマートフォンを限定しています。
Wi-Fi版は対応Xiaomiスマートフォンとの専用接続で高帯域伝送を狙うモデルです。普通のBluetoothイヤホンとして幅広い端末で使いたい人には、追加料金を払う理由が弱くなります。機種変更でXiaomi以外へ移る可能性があるなら、Bluetooth版のほうが無難です。
イヤホン単体は約5.6g、ケース込み約53g。高音質機能を積む割には極端に重くありません。弱点は、機能説明が複雑で、対応端末を確認しないと「買ったのに使えない機能」が出やすいことです。Xiaomi Buds 5 Proは、Xiaomiスマートフォン利用者に最も勧めやすい製品です。
より安いモデルとの違いが気になる場合は、REDMI BudsとXiaomi Buds 5 Proの比較で、価格差が音、ANC、アプリ機能のどこに表れるかを確認できます。
HUAWEI FreeBuds Pro 5:総合バランスがよい
HUAWEI FreeBuds Pro 5は、2026年5月に日本発売された上位モデルです。グレーとゴールドは29,480円、レザーブルーは31,680円。ウルトラリニア・デュアルマグネットドライバーとマイクロ平面振動板ドライバーを組み合わせ、10Hz〜48kHzの周波数特性とLDAC対応を掲げます。
ANCは高音域と低音域を別々のドライバーで処理する構成です。3マイクに骨伝導センサーを加え、通話時に声と周囲の雑音を分離します。イヤホンは約5.5gでIP57、ケースもIP54。汗や雨への耐性では他2機種より余裕がありますが、水泳やシャワーには使えません。
電池はAAC・ANCオフで本体最大9時間、ケース込み38時間。ANCオンでは本体6時間、ケース込み25時間です。LDACなど音質優先モードでは短くなり、ANCオンで本体5時間、ケース込み22時間が公式値です。コーデックとANCで条件が変わることを明確に示している点は比較しやすい部分です。
HUAWEI製スマートフォン以外でも、HUAWEI Audio ConnectアプリはiOSとAndroidへ対応し、2台マルチポイントも利用できます。ただし、独自コーデックL2HCやポップアップ接続など、HUAWEI端末で価値が増える機能もあります。他社AndroidではLDAC、iPhoneではAACを中心に考えるのが現実的です。
弱点は3機種で最も高めの価格です。また、音の好みはスペック表で決まりません。デュアルドライバーが必ず単一ドライバーより好みに合うとは限らず、低音量、ボーカル、ロック、クラシックなど聴く音源でも評価は変わります。可能なら量販店や専門店で装着と音を確認したい製品です。
ノイズキャンセリングは数字より密閉で決まる
ANCはマイクで外音を拾い、逆位相の音を出して騒音を弱めます。連続する低音には強い一方、人の声、食器音、突発音を完全に消すことはできません。メーカーごとに測定周波数と環境が異なるため、最大値だけでは比較できません。
購入後は次の順で調整します。
- 左右で違和感のないイヤーチップを選ぶ
- アプリの装着テストがあれば実行する
- 電車、オフィス、屋外でANCと外音取り込みを試す
- 圧迫感が強ければ自動または弱いモードへ下げる
- 音量を上げて騒音を隠す使い方を避ける
密閉が合わないままでは、低音が減り、ANCが弱くなり、音量を上げやすくなります。耳が痛い場合は、性能評価より装着を優先してください。長時間利用では休憩を入れ、周囲の音が必要な道路や駅では外音取り込みを使います。
コーデックとスマートフォンの相性
| スマートフォン | 選び方のポイント |
|---|---|
| iPhone | 基本はAAC。高音質コーデックより装着、ANC、通話、アプリを優先 |
| 一般的なAndroid | LDAC対応を確認。Liberty 5 ProとFreeBuds Pro 5が分かりやすい |
| 対応Xiaomi | Buds 5 ProのaptX Lossless、録音、翻訳、Wi-Fi版の対応範囲を確認 |
| HUAWEI | FreeBuds Pro 5の独自連携やL2HC対応を確認 |
| PC併用 | マルチポイント台数、会議アプリ、マイク品質を優先 |
高音質コーデックは、音源、スマートフォン、イヤホンの三つが対応して初めて機能します。接続が不安定な駅や混雑場所では、AACなど安定性重視へ戻したほうが快適な場合もあります。ハイレゾのロゴだけでなく、日常の接続切れを含めて判断します。
どれが誰に向くか
Soundcore Liberty 5 Proが向く人
- PC、スマートフォン、タブレットを仕事で切り替える
- 騒がしい場所での通話を重視する
- SoundcoreアプリのEQや多機能性が好き
- 音質だけでなく仕事道具として使う
音楽の自然さを最優先し、ケース画面や3台接続が不要な人には、機能過多になる可能性があります。
Xiaomi Buds 5 Proが向く人
- 対応Xiaomiスマートフォンを使っている
- 3ドライバー、aptX Lossless、EQを試したい
- 録音、文字起こし、翻訳を使いたい
- 2万5,000円前後で旗艦機を選びたい
iPhone利用者や、今後Xiaomi以外へ機種変更する人は、限定機能へ払う価格を慎重に考えるべきです。
HUAWEI FreeBuds Pro 5が向く人
- 音質、ANC、通話、装着感を平均以上でまとめたい
- LDACとマルチポイントを使いたい
- 汗や雨への耐性を重視する
- 予算3万円前後で総合力を求める
価格を最優先する人、低価格イヤホンとの差を試聴で感じにくい人には勧めにくいモデルです。
最終結論
最も無難な総合選択は HUAWEI FreeBuds Pro 5、仕事の通話と複数端末なら Soundcore Liberty 5 Pro、Xiaomiスマートフォンとの一体感なら Xiaomi Buds 5 Pro です。
ただし、完全ワイヤレスイヤホンは耳との相性が強い製品です。カタログ上のANCやコーデックで上位でも、痛みや緩みがあれば毎日は使えません。返品条件を確認し、可能なら試着してから選んでください。
耳を塞ぐこと自体が苦手なら、3機種の中で無理に選ぶ必要はありません。Shokzなどオープンイヤー製品は、静けさや重低音より、周囲の音と長時間装着を優先する別の選択肢です。
参考資料・情報源
メーカー公式情報を中心に、日本語・中国語を含む国内外の資料を照合して構成しています。