照明が勝手に消える原因は、人感センサーが「人」を見ているのではなく、赤外線の変化を見ているからだ。机で静かに作業する、ソファで映画を見る、眠るといった場面では、ミリ波レーダー式の在室センサーが効く。

一般的なPIR人感センサーは安く、電池で長く動き、通過する人を素早く見つける。しかし動かない人は苦手だ。Aqara FP1EとFP2はミリ波レーダーを使い、身体の小さな動きから「まだ部屋にいる」を判定する。

先に結論:一室ならFP1E、LDKのゾーン制御ならFP2

FP1Eは一つの検知範囲について、在室、不在、移動、静止を扱う。感度や干渉源の学習を自動化し、複雑なマップ設定を避けたい人向けだ。ただしZigbee 3.0対応のAqaraハブが必要になる。M100、M200、M3の違いは「Aqara Matter対応ハブ比較」で整理している。

FP2はWi-Fiで接続し、一台のセンサーを最大30ゾーン、320セルに分割できる。ソファ、ダイニング、キッチン、机を別々の存在センサーとして外部エコシステムへ見せられる。複数人追跡や転倒検知も備えるが、その分、設置とマップ調整に時間がかかる。

比較項目PIR人感センサーAqara FP1EAqara FP2
検知方式赤外線変化ミリ波レーダーミリ波レーダー
静止した人苦手対応対応
ゾーン分割非対応非対応最大30ゾーン
複数人追跡非対応非対応最大5人、最適3人以下
接続Zigbee等Zigbee、Aqaraハブ必須Wi-Fi、ハブなし導入可
電源電池が多い常時給電常時給電
向く場所廊下、玄関寝室、書斎LDK、複数用途の部屋

PIRとミリ波は競合ではなく役割が違う

PIRは人と背景の赤外線差が動いたときに反応する。廊下へ入った瞬間の点灯には速く、電池式で設置しやすい。一方、室温が体温へ近づく夏や、机でほとんど動かない場面では見失いやすい。

ミリ波は電波の反射から小さな動きを検出するため、呼吸や姿勢変化を拾える。その代わり、壁やガラスの向こう、扇風機、カーテンなど人以外の動きまで拾う可能性がある。

最も安定するのは、PIRで素早く点灯し、ミリ波で在室を維持する組み合わせだ。どちらか一方ですべて解決しようとしない方がよい。

FP1Eは「部屋にいるか」へ特化

FP1Eの検知距離は最大6m、水平・垂直120°で、アプリから最大距離を0〜6mに調整できる。ゾーンマップはなく、部屋単位で人がいるかを判断する。

書斎で人が静止しても照明を消さない、寝室が無人になったらエアコンを切る、といった用途に合う。TriD-Space AIが鏡、ガラス、家電、ペットなどの干渉を学習するとAqaraは説明している。

ただし、AIがあるから設置場所を選ばないわけではない。隣室まで検知する場合は距離を短くし、部屋の入口へ向ける角度を調整する必要がある。

FP2の価値は複数ゾーンを一台で作れること

FP2は最大40平方メートルをカバーし、アプリ上でソファ、机、食卓などをゾーンとして描ける。たとえば同じLDKで次の自動化が可能になる。

  • キッチンへ入ったら手元灯だけ点灯
  • ソファに座ったらテレビ周辺の照明へ切替
  • 机に30分以上在室したら空調を調整
  • 部屋全体が不在になってから照明を消灯

複数のPIRを置かず、一台から複数の存在センサーを作れることがFP2の本質だ。単に「高精度な人感センサー」として一部屋のオン・オフだけに使うなら、FP1Eの方が簡単で安い。

最大5人検知は人数カウンターとは違う

FP2は最大5人を追跡するが、公式も3人以下で最良の結果になるとしている。人が重なる、すれ違う、家具で反射が途切れると、画面上の人物が結合・分裂することがある。

誰がどこにいるかを個人識別する装置ではない。家族Aと家族Bを区別して照明を変える用途ではなく、「ソファに1人以上いる」「部屋に誰もいない」という条件に使うのが現実的だ。

日本の狭い部屋では壁抜けが問題になる

ミリ波は設置角度によって薄い壁、開いたドア、ガラスの向こうの動きを拾う。ワンルームでは検知距離6〜8mが広過ぎる場合もある。センサーを部屋の端から対角線へ向けると、廊下やベランダまで範囲に入りやすい。

まず最小限の範囲で設置し、人の位置表示を見ながら距離を広げる。FP2では対象外ゾーンを作り、入口の外、窓、エアコン周辺を除外する。

誤検知を起こす代表的なもの

AqaraのFP2 FAQは、ガラス、鏡、金属、水、エアコン、扇風機、動くカーテンを干渉源として挙げている。

特に注意したいのは次の場面だ。

  • エアコンの風でカーテンや観葉植物が揺れる
  • ロボット掃除機が検知範囲を移動する
  • 大きな鏡や金属棚が反射を作る
  • 開いた扉の先を人が横切る
  • 洗面所や浴室の水面が動く

感度を下げるだけでは本当の在室まで見失う。物理的に向きを変える、干渉ゾーンを除外する、動く物を範囲外へ置く順で調整する方がよい。

点灯より「消灯条件」を慎重に作る

在室センサーの失敗は、電気が点かないことより、人がいるのに消えることだ。照明を不在イベントと同時に消さず、30秒から数分の遅延を入れる。短時間に再び在室を検知したら消灯をキャンセルする条件も有効だ。

エアコンや暖房はさらに長い遅延が必要になる。トイレへ行っただけで空調を切ると効率が悪く、家族の不満も大きい。10〜30分の不在を条件にする方が現実的である。

転倒検知は通常のゾーン検知と両立しない

FP2は天井へ設置して転倒を検知できるが、医療機器ではない。さらに転倒検知モードでは、ゾーン管理など多くの通常機能が利用できなくなる。睡眠モニタリング、ゾーン検知、転倒検知も同時には使えない。

「一台で見守り、照明、睡眠をすべて行う」と考えると期待を外す。転倒通知が主目的なら専用に一台設置し、通知が届かなかった場合を含む別の見守り方法も残すべきだ。

常時給電の配線を先に考える

PIRセンサーの多くは電池で動くが、FP1EとFP2は常時給電が必要だ。天井や部屋の中央へ理想的に設置できても、USBケーブルが壁を横切れば見た目と安全性が悪くなる。

購入前にコンセント位置、ケーブル長、家具による配線の隠し方を確認する。センサー性能より、電源を確保できる壁面へ設置場所が制限される家庭は多い。

エコシステムの違い

FP1EはZigbee 3.0対応Aqaraハブが必須で、ハブ経由でMatterやApple Home、Alexa、Google Homeなどへ連携する。すでにAqara M100、M200、M3を使っている家庭では追加しやすい。

FP2はWi-Fiへ直接接続でき、Aqaraハブなしでも導入できる。HomeKitやHome Assistantなどへゾーンを複数センサーとして公開できる点が強い。ただしゾーンの作成や詳細設定はAqara Homeアプリで行う。

FP2をカメラなしの家族見守りへ使う場合は、通常の在室検知とは条件が異なる。「Aqara・Tuya系ミリ波センサーの転倒検知」で、設置と通知後の運用を別に確認している。

どれを選ぶべきか

一般的なPIRで十分

  • 廊下、玄関、納戸で通過時だけ点灯したい
  • 電池式で配線を避けたい
  • 安価で単純な自動化を優先する

FP1Eが向く

  • 書斎や寝室で静止中も在室を維持したい
  • 部屋全体の在室・不在だけ分かればよい
  • Aqaraハブをすでに持っている

FP2が向く

  • 一つのLDKを机、ソファ、キッチンに分けたい
  • 複数人の位置を条件にしたい
  • 設置後のマップ調整を苦にしない

ミリ波センサーはPIRの高級版ではない。静止検知とゾーン制御を得る代わりに、常時給電と調整作業が増える。日本の一室で照明を消さないだけならFP1E、LDKそのものを複数の場所として自動化したいならFP2が妥当だ。

参考資料・情報源

メーカー公式情報を中心に、日本語・中国語を含む国内外の資料を照合して構成しています。

  1. Aqara 人感センサーFP2 公式
  2. Aqara FP2 FAQ
  3. Aqara FP1E 公式

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